「半身」とは、身躰を斜めにすることなのか
武術では「半身」という言葉がよく使われます。
一般には、片側の足を引き、腰を切り、身躰を斜めに構えた姿を半身と呼ぶことが多いでしょう。
しかし、フィジカリストOuJiが考える半身は、単なる外形ではありません。
身躰が正面を向いていても、半身は成立します。
半身とは身躰の向きではなく、右と左の側躰が分かれて働けることだからです。
一方を動かすために反対側を止めたり、左を土台にして右を動かしたりするのではなく、右側躰と左側躰がそれぞれ運動し、互いに関係しながら入れ替わっていく。
この左右互動によって生まれる半身を、本講座では「陰陽半身」として學びます。
なぜ「ちょっと奥さん」で半身がつくられるのか
ちょっと奥さん躰操では、手を前へ出しながら身躰を前後へ動かします。
ここで大事なのは、手を振ることでも、腰を大きく廻すことでもありません。
手の運動に伴って、上腕骨、鎖骨、肩胛骨、肋骨、胸骨、胸椎などの構造間関係がどう変化し、右側が動いた時に左側で何が起きているのかを見る必要があります。
さらに左右が入れ替わる過程では、どこが動き、どこが止まっているのかも重要になります。
同じように「ちょっと奥さん躰操」を行っていても、身躰の中で起きていることは人によって違います。
腕や肩だけを動かしたり、腰を左右へ振ったりすることで、見た目だけは似た動きをつくることもできます。
しかし、それでは形を再現しているだけで、陰陽半身をつくっていることにはなりません。
今回扱うのは、見えている動きの奥で起きている左右側躰の互動です。
陰陽半身
右と左は、同じことを同時に行うためだけにあるのではありません。
身躰が動けば、右側躰と左側躰の関係も変化します。
一方を固定して、もう一方だけを動かすのではなく、左右が互いに動きながら役割を入れ替えていく。
その運動が成立すれば、身躰の正面そのものを大きく変えなくても、内部では右半身と左半身の関係を変えることができます。
これが、ちょっと奥さん躰操で開發していく陰陽半身です。
ここでいう半身は、外から見える半身の形をつくることではありません。
左右側躰の運動によって、身躰の中に半身が成立する。
その違いを、実際に動きながら學んでいきます。
「軸をつくる」と「一方を止める」は違う
左右運動を行う際、一方を支点や軸として固定し、反対側を動かそうとすることがあります。
この場合、止まっている側と動いている側が明確に分かれるため、見た目には大きく動けても、運動は一方向になります。
ちょっと奥さん躰操では、一方を固定したまま反対側を動かすことを目的にしません。
右側躰と左側躰の両方が運動へ参加し、その二つが互いに入れ替わりながら動いていく。
左右のどちらかを止めなければ動けなかった身躰から、左右それぞれを使いながら運動できる身躰へ変えていきます。
この違いが分かってくると、「半身」という言葉の意味そのものも変わってきます。
正面を向いたまま、半身になる
この術理が分かりやすく現れるものの一つが、武術です。
例えば抜刀では、身躰を大きく廻して腰を切れば、刀を抜くための空間をつくることができます。
しかし、身躰を正面へ向けたまま抜こうとすれば、同じ方法では刀と身躰がぶつかります。
そこで必要になるのが半身です。
外から見た身躰の向きを変えるのではなく、右側躰と左側躰を分けて使う。
左右の肋骨をはじめとする構造が互動し、一方だけを止めることなく左右が入れ替われば、外形上は正面を向いたままでも、太刀が通る身躰をつくることができます。
つまり、「ちょっと奥さん躰操」で行っている運動は、躰操の中だけで完結するものではありません。
同じ運動原理が、抜刀術や太刀捌きにも現れます。
見た目は簡単。しかし、どこまで分けられるか
ちょっと奥さん躰操そのものは難しい運動ではありません。そのため、自分が何をしているのかを観察する題材としても適しています。
実践では、腕や肩だけで動きをつくっていないか、腰を廻すことで代償していないかを確認するとともに、左右の肋骨がそれぞれ運動しているか、胸椎がどのように動いているか、一方を止めてもう一方だけを動かす形になっていないかを観察します。
大きく動くこと自体を目的にするのではなく、その運動に実際にどの構造が参加しているのかを見る。
その確認を繰り返しながら、左右側躰を少しずつ分けていきます。
分かれるから、一つに動ける
全身を一つに使うことと、全身を一塊にして動かすことは同じではありません。
身躰を一塊にしてしまえば、右と左をそれぞれ異なる方向へ運動させることはできません。
左右が構造として分かれているから異なる運動が可能になり、その違いがあるからこそ、互いに入れ替わることもできます。
さらに、それぞれが独立して動けることで、左右を一つの運動として協調させることが可能になります。
ちょっと奥さん躰操は、左右をバラバラにするための運動ではありません。
左右を分けて使えるようにすることで、全身運動の自由度を高めていく躰操です。
ちょっと奥さん躰操は、立腰躰操である
立腰躰操とは、決められた種目だけを指す名称ではありません。
身躰を構造に従って使えるようにするための運動法です。
その意味で、ちょっと奥さん躰操も立腰躰操の一つです。
大切なのは、何回行ったかだけではなく、その一回の運動をどのような身躰で行ったかです。
右と左が分かれて働いているのか。一骨の運動が局所だけで終わらず、隣接する構造との関係変化へ展開しているのか。
外から見える形だけではなく、その形を生み出している身躰内部の構造間関係を見ていきます。
なぜ【奥義開傳】なのか
「ちょっと奥さん躰操」は、以前から傳えてきた躰操です。
今回、新しい動きを一つ追加したから【奥義開傳】としたわけではありません。
これまで行ってきた「ちょっと奥さん躰操」を改めて身躰構造から観察し、その運動を陰陽半身という術理まで降りて學び直すことに、今回の主題があります。
手の形や左右への運動が身躰の中で何を生み出しているのか。
どの構造が互動することで、正面を向いたまま半身が成立するのか。
さらに、その運動がなぜ抜刀術をはじめとする武術身躰へ繋がるのか。
これらを一つの運動の中で明らかにしていきます。
すでに形を知っている方ほど、これまで何気なく行ってきた「ちょっと奥さん躰操」の中に、まだ見ていなかった身躰運動があることに気づくと思います。
この動画セミナーで學ぶこと
本講座では、「ちょっと奥さん躰操」を実際に行いながら、左右側躰を分けること、陰陽半身、左右互動、肋骨を中心とした上半身の構造間関係、一方を固定しない左右運動、正面を保ったまま半身を成立させる身躰操作について解説します。
また、躰操としての実践だけでなく、抜刀術や太刀捌きの中で同じ術理がどのように使われるのかも確認します。
目的は、見た目の動きを覚えることではありません。「ちょっと奥さん躰操」を行った時、自分の身躰内部で実際に何が起きているのかまで理解できるようになることを目指します。
こんな方に受けてほしい
ちょっと奥さん躰操を以前から続けている方はもちろん、
- 左右差のある動きが苦手な方
- 腕や肩だけで運動してしまう方
- 腰を廻さなければ上半身を動かせない方
- 武術における「半身」を形ではなく術理から學びたい方
にも受講していただきたい内容です。
また、「ちょっと奥さん躰操って、結局何を開發しているんですか?」という疑問を持っていた方にも、今回の【奥義開傳】でその答えを具体的にお傳えします。

